2024年05月20日

2024年5月の例会を開催しました

佐賀ミステリファンクラブ2024年5月の例会を開催しました。今月の例会は、対面とオンラインで実施しました。
対面8人、ZOOM4人、計12人の参加がありました。
また、作家の稲羽白菟先生が、特別ゲストとして参加されました。

〇日時:5月12日(日)13時~17時
〇課題本:『神様のたまご 下北沢センナリ劇場の事件簿』(稲羽白菟/文春文庫)

〇内容:
 ①おすすめ本紹介
 ②課題図書の感想
 ③課題図書についてのフリートーク等

読書会では、
・魅力的なキャラクターが多くてとても読みやすかったのだが、下北沢にある色々な店とかが実際にある店なので気になって、出てくる度に調べて読むのに時間がかかった。楽しく寄り道しながら読んだ。
・映像が浮かぶ、不思議な読後感。
・死んだはずの男が急に現れるという事も、下北沢の町ならあるかもと思わせてくれた。(『マクロプロスの旅』)
・下北沢に集まる人の熱だったり夢だったり、町そのものが主役。
・タケミツと太郎の絡みが面白い。
・CDをなくしたという言い合いが、舞台の上でやることで周りが見守っている姿が想像出来て、より感動した。ただの建築物なのに、そういう効果があると改めて思った。(『シルヤキミ』)
・殺人がなくても面白い。コージーミステリーをネットで検索してハードボイルドの反義語だと知った。
・自分が想像もつかないような発想を持ってこられている。
・新作はオルレアンの二人の新しい作品だと思っていたのでちょっと意外だった。
・自分が思ったことが、後書きに全て書かれていた。
・コージーは、良くも悪くもふわっとした感じだが、それが大きな魅力。その中に色んな要素を入れていて深く読める作品に仕上げているのがすごい。
・キャラの作り方が上手い。主人公二人の他もキャラが立っていて、スピンオフも出来ると思った。
・小劇団の運営の困難さに思いを込められて書いている。
・シリーズ化して欲しい。
・青いガーネットをいう石についての議論~面白く拝聴しました。(『神様のたまご』)
・2013年という舞台設定が気になった(稲羽さんからご説明あり)。
・鯉のぼりの演出の舞台を見てみたい。
・アパートを二つ繋げているというのが、よく分からない(稲羽さんからご説明あり)。
・舞台設定が非常に魅力的である。登場人物たちが生き生きとしている。
・教養が現れている。
・考察が解決に関係ないところがある。
・謎の状況が説明されないまま終わっている話がある(稲羽さんからご説明あり)。
・先月があまりにも人が死ぬ話だったので安心して読めた。
・舞台とか劇場ではない場所で踊りを見せる話が好き。そういう演劇の形もあるので嬉しくなった。(『マクロプロスの旅』)
・稲羽さんの作品は、舞台がきっちりとしている。
・既刊がガチガチの本格ミステリで、今回は日常の謎に来たかというぐるっと回った感じが意外で、そういう技を見せてくれるのかと嬉しくなり、よっしゃ読んでみようと思った。
・謎が解明されずに終わる作品もあっていいと思う。
・解説がメタ。
・下北沢に友人が住んでいてよく遊びに行った事を懐かしく思いだした。
・場面がどんどん展開していく話が面白かった(『マクロプロスの旅』)
・コメディが入っているけど、深刻な事件になってくる話しが好き。(『死と乙女』)
・大上段に振りかぶるのに、ちゃんと現実的なところに落とし込む。
・1時間ドラマのボリューム感で映像化しやすい面白さ。

などの意見が出るとともに、稲羽さんから作品についての詳しい解説があり、また、これからミステリーを書いていく上でのスタンスを拝聴でき、有意義で和気あいあいの楽しい例会になりました。




  

Posted by 佐賀ミステリ  at 17:53例会

2024年03月17日

2024年3月の例会を開催しました

佐賀ミステリファンクラブ2024年3月の例会を開催しました。

今月の例会は、対面とオンラインで実施しました。
対面17人、ZOOM2人、計19人の参加が
ありました。
また、作家の伊吹亜門先生が、特別ゲストとして参加されました。

〇日時:3月16日(土)13時~17時
〇課題本:『刀と傘』
〇内容:
 ①おすすめ本紹介
 ②課題図書の感想
 ③課題図書についてのフリートーク等

読書会では、
・この時代でしか成り立たないネタを集めた、ある意味で特殊設定ミステリ
・読者が物語に入り込んでいきやすい人物造形が良い
・全ての短編で、いったん解決した後に何らかの新たな真相が提示されているのが凄い
・連作ミステリ短編集としてのヴァリエーションが、本当に豊か
・過去を舞台にしているからこそ、飛躍をともなうホワイダニットの面白さを描きつつも、説得力を持たせられている
・本作で描かれる江藤新平の人間性が、どこまで史実に即しているのかが気になる
・正義が目まぐるしく移り変わる、明治という時代ならではの物語
・章ごとに視点が切り替わることで、江藤と鹿野の信頼関係の変遷が巧みに描き出されている
・『雨と短銃』を読んでから再読すると、「佐賀から来た男」に綺麗につながっていて感動する
・ミステリ面の構成にせよ、文章力にせよ、この若さで書いたのが信じられないほど図抜けている
・鹿野も江藤と同じく実在の人物だと勘違いしてしまったほど、人物造形がリアル
・幼少期から江藤新平に慣れ親しんだ佐賀県民としては、短編ごとに彼の描き方がどんどん変わっていく展開に、心がかき乱された
・罪と罰を巡るテーマが、ローレンス・ブロックのマット・スカダー物を彷彿とさせる
・『明治断頭台』と読み比べると、弾正台の描かれ方にかなり違いがあって面白い
・連城三紀彦を思わせる人間の機微の描き出し方が印象的
・ラスト2行で史実を簡略に説明して唐突に終わる締め方が、むしろカッコ良い
・ミステリというより、歴史人情話として素晴らしい
・伝統的な探偵役と助手のすれ違いの物語を展開しながら、それを最後に一ひねりして味のある結末にしているのが見事
・それぞれの自分の義を貫いて幕末という時代を生きた人々の姿が、物語を通して良く伝わってくる
・作者は現代の歴史ミステリの代表選手とも言うべき存在
などの意見が出るとともに、連作短編集全体の構想が出来あがっていった経緯や、歴史ミステリを書くに際しての取材や時代考証の難しさ、佐賀県民にとっての江藤新平のイメージと思い入れなどにも話が及び、有意義な会となりました。



  

Posted by 佐賀ミステリ  at 18:58例会

2024年02月11日

2024年2月の例会を開催しました

佐賀ミステリファンクラブ2024年2月の例会を開催しました。

今月の例会は、対面とオンラインで実施しました。
対面9人、ZOOM4人、計13人の参加がありました。

〇日時:2月11日(日)13時~17時
〇課題本:『春にして君を離れ』
〇内容:
 ①おすすめ本紹介
 ②課題図書の感想
 ③課題図書についてのフリートーク等

読書会では、
・ミステリではないが、極めてクリスティーらしい小説
・内容が強烈すぎて、これまで何度も読もうとして途中で挫折した
・若い頃に読んだ時は登場人物の醜さを身の回りの他人と重ね合わせていたが、今回は「自分にもこういう面があるかも」と思ってしまい辛かった
・現実から目を逸らし続ける主人公の自己欺瞞が、読んでいて息苦しい
・偽善的な話よりも、こういった人間に対する悪意が感じられる小説の方が、ニヤニヤしながら楽しめる
・本心を妻に言わずに誤魔化し続ける夫もずるい
・主人公の歪んだ主観の描写を通じて、周囲の人間の彼女に対する評価を読者に対して浮き彫りにするというのは、人間への洞察が相当に深くないとできない書き方
・娘のことで当人そっちのけで両親が言い争う場面を読むと、「こういう親っているよね」とリアルに感じてしまう
・主人公を自分自身に置き換えて、自分がしてきた子育てについて考えさせられてしまう
・10代で初めて読んだ時は主人公に嫌悪感しか抱かなかったが、歳を取ると世の中はこんな人間ばかりだと気づく
・ラストで主人公が選んだ生き方を幸せととらえるかどうか、読者に踏み絵を迫るような作品
・なぜこんな小説を書こうと思ったのか、クリスティーに聞いてみたい
・普通小説と言われるが、ほとんどサスペンスかスリラーのようなスリリングな読み味
・読む時期によって、印象が本当に大きく変わりそうな作品
などの意見が出るとともに、タイトルに込められた意味や、終盤に登場する人物の存在意義、英米日それぞれの価値観や文化的背景の違いなどにも話が及び、有意義な会となりました。
  

Posted by 佐賀ミステリ  at 20:41例会

2024年01月07日

2024年1月の例会を開催しました

佐賀ミステリファンクラブ2024年1月の例会を開催しました。

今月の例会は、対面とオンラインで実施しました。
対面11人、ZOOM5人、計16人の参加がありました。

〇日時:1月7日(日)13時~17時
〇課題本:『ちぎれた鎖と光の切れ端』
〇内容:
 ①おすすめ本紹介
 ②課題図書の感想
 ③課題図書についてのフリートーク等

読書会では、
・多くの要素が詰め込まれたチャレンジングな作品
・乱歩賞受賞の翌年に、この第2長編をすぐに出せるというのは凄い
・第1部と第2部で主人公が変わる展開が意外
・安易に人を殺しすぎではないかという点が気になる
・細部に粗が多い一方で、本格の面白さのツボを押さえた伏線なども多く、作者のミステリセンスを感じる
・設定やネタが十分に整理されていない箇所が多く、読んでいてしんどかった
・「光の切れ端」という、より大きな明るさを感じさせるタイトルは、作品の内容にも合っていて綺麗
・第2部のゴミ収集の描写などに、綿密な取材の裏づけを感じる
・ミステリ的には密度が薄いが、作者の意図は歪な人間関係を描き出すことにあるのではないか
・一読して、どのように組み立てていったのかが非常に気になったが、作者が第2部から作ったと語るのを聞いて納得した
・第1部は次々と事件が起こるので、ついていくのが大変だった
・第2部の刑事のキャラが良かったので、この人物の背景を掘り下げる続編が読みたい
・犯人の動機の醜悪さの描き方に、クリスティーなどにも通じる冷徹な人間観を感じる
・作者はストーリー面に力を入れているが、本格を書く資質をもった作家だと思うので、もっとミステリ面に集中してほしい
・小説としては非常に良くできていると思うが、本格ミステリに分類できるかは疑問
・古典ミステリ自体を下敷きにするというより、新本格を経由して摂取した古典の技巧を使っている感があって、世代の違いを感じる
などの意見が出るとともに、タイトル決定までの裏話や、作者が描き出そうとしている社会観・人間観、「Z世代のクリスティー」というキャッチコピーの是非などにも話が及び、有意義な会となりました。
  

Posted by 佐賀ミステリ  at 20:30例会

2023年12月10日

2023年12月の例会を開催しました

佐賀ミステリファンクラブ2023年12月の例会を開催しました。

今月の例会は対面とオンラインで実施しました。
対面8人、ZOOM5人、計13人の参加がありました。

〇日時:12月10日(日)13時~17時
〇課題本:『黒後家蜘蛛の会 1』
〇内容:
 ①おすすめ本紹介
 ②課題図書の感想
 ③課題図書についてのフリートーク等

読書会では、
・こういったラスト1ページで切れ味鋭く解決して、スカッとさせてくれる短編は好き
・作中に出てくる文化が、現代の日本人にはなじみが薄いものが多くて、理解が難しい
・「実を言えば」や「明白な要素」のネタは賛否が分かれそうだが、面白い
・アシモフはロボット物でもシリーズ化しやすい設定を上手く作っているので、連作ミステリを書く資質が元々あったのだろう
・軽く読めるので、どんどん読み進めることができ、気づけば全5巻を通読してしまっているシリーズ
・2話目までは給仕のヘンリーが社会的地位の高い会員たちを打ち負かす皮肉な面白さがあったが、3話目から普通の探偵役の扱いになってしまい残念
・出てくる風俗は1970年代なのに、作風は黄金期で、探偵役の描写はホームズのライヴァルたちっぽい
・このようなタイプのミステリが、現代のアメリカではどのように評価されるのかが気になる
・こんなにずっとワンパターンのシリーズなのに面白く読めるのは、常連キャラたちの魅力が大きい
・SFミステリ作品もそうだが、アシモフにとってのミステリとはロジックの隙を見つける面白さだったのだろうと感じる
・再読だったにも関わらず内容を完全に忘れていて、1話目のネタに驚いてしまった
・語り手の話自体に仕掛けがあるというネタが積極的に使われているところに、作者がシリーズの構造に対して自覚的であったことが窺える
・社会的地位が高い会員たちが、いつも口の悪い会話を延々としているのが面白い
・アシモフの他の作品もそうだが、作者が毎回、自作解説でやたらと長く喋っているのが笑える
・シリーズが巻を重ねるごとに、雑学ネタがどんどん増えていく
などの意見が出るとともに、黒後家蜘蛛の会という名称が表している意味や、アシモフのSF作家・ミステリ作家としての資質、安楽椅子探偵ものの連作シリーズの歴史などにも話が及び、有意義な会となりました。  

Posted by 佐賀ミステリ  at 23:26例会

2023年09月10日

2023年9月の例会を開催しました

佐賀ミステリファンクラブ2023年9月の例会を開催しました。

今月の例会は対面とオンラインで実施しました。
対面9人、ZOOM6人、計15人の参加がありました。
また、金沢ミステリ倶楽部から3人の会員様が、ゲスト参加して下さいました。 

〇日時:9月10日(日)13時~17時
〇課題本:『弁護側の証人』
〇内容:
 ①おすすめ本紹介
 ②課題図書の感想
 ③課題図書についてのフリートーク等

読書会では、
・ネタが明かされた瞬間、本を投げつけたくなるほど驚いた
・再読すると構成も含めて、小説の書き方が物凄く上手い
・これまで読んできたミステリの中で、ベスト3に入るほどの衝撃
・『検察側の証人』と比べると、タイトルに込められた意味が今一つ弱い
・小泉喜美子の作品を読んだのは初めてだが、他の作品も読んでみたいと感じた
・現実には、この立場の人間が弁護側の証人として法廷に立つことはなさそう
・小泉喜美子は翻訳作品の方をよく読んでいたので、文章が馴染み深かった
・読み返すと序章の書き方の巧さに感服する
・登場人物が揃いも揃ってクズばかりで驚く
・女性の描き方を『検察側の証人』と対比すると興味深い
・帯の紹介文で読む前に身構えてしまったので、ネタが見抜けてしまった
・仕掛けを明かす場面が静かすぎるので、もう少しどんでん返しを強調する書き方をしても良いのでは
・尊属殺の規定があるところに時代を感じる
・作者の仕掛けが早いうちに読めてしまったので、そこから物語を今一つ楽しめなかった
・海外ミステリの教養が深い作者だからこそ、この時代にこれほどのセンスを発揮できたのだろう
・言葉づかいなど、全体的に昭和の雰囲気
・仕掛けがあること自体は何となく予測できたが、それでも騙された
・現代の新本格のようなあざとい騙し方ではなく、純粋な小説技巧でミスリードしているのが凄い
などの意見が出るとともに、作品に盛り込まれている作者の幅広い教養や、本作を映像化した連続ドラマ、マジックを例に挙げての理想的な騙し方に関する議論などにも話が及び、有意義な会となりました。


  

Posted by 佐賀ミステリ  at 21:04例会

2023年08月06日

2023年8月の例会を開催しました

佐賀ミステリファンクラブ
2023年8月の例会を開催しました。



今月の例会は対面とオンラインで実施しました。

対面8人、ZOOM1人、計9人の参加がありました。



〇日時:8月6日(日)13時~17時

〇課題本:『奇岩城』

〇内容:

 ①おすすめ本紹介

 ②課題図書の感想

 ③課題図書についてのフリートーク等



読書会では、

・小学生の時に初めて読んで以来、大好きな作品

・子どもの頃は怪人二十面相の方が好きで、ルパンにはあまりハマれなかった

・日本人はどうしてもルパン3世のイメージで読んでしまう

・ホームズの描き方がひどすぎる

・史実の取り入れ方などを見ると、ルブランは本当にインテリだったのだろうと感じる

・60年ぶりに再読したが、子どもの時とは違う魅力に気づき、新鮮な感動があった

・子どもの頃はルパンが小物に思えて好きになれなかったが、大人になって読むと彼の人間臭い面がむしろ魅力的

・ルパンは本作のような冒険ものよりも、『八点鐘』などの探偵ものの方が好き

・とにかく読者を驚かせることにこだわる創作姿勢は、カーにも通じる

・20世紀初頭の小説なのに、自動車が走り回っているのが意外

・フランスの地図がないと分かりづらい

・子どもの時は、奇岩城の設定に空想心をくすぐられて、ワクワクした

・ルールタビーユといい、この時代のフランス人は少年探偵が好きだったのか

・アメコミ版のレイモンドは、イメージがかなり違う

・「驚くべき展開第一主義」とも言うべき書きぶりで、次から次へとサプライズが来る小説

・どれほど打ちのめされても、必ずカッコ良く復活してくれるルパンが大好き

などの意見が出るとともに、ルブランとドイルの比較や、各種の翻訳の違い、海外ミステリから得られる周辺知識の豊かさなどにも話が及び、有意義な会となりました。


  

Posted by 佐賀ミステリ  at 22:10例会

2023年07月09日

2023年7月の例会を開催しました

佐賀ミステリファンクラブ2023年7月の例会を開催しました。

今月の例会は対面とオンラインで実施しました。
対面4人、ZOOM9人、計13人の参加がありました。

〇日時:7月9日(日)13時~17時
〇課題本:『金田一少年の事件簿 オペラ座館殺人事件』
〇内容:
 ①おすすめ本紹介
 ②課題図書の感想
 ③課題図書についてのフリートーク等

読書会では、
・第1作にして『金田一少年』のフォーマットの全てがある
・トリック自体にオリジナリティはなく、既存のネタを組み合わせる編集力に重きを置いた創作姿勢
・粗も多いが、初心者にミステリの楽しさを伝える勢いがある作品
・被害者たちの死体描写が、とても巧い
・この話数で長編ミステリをしっかりと展開するタイトな構成に感心
・当時は「異人館村」で醒めてしまって読まなくなったが、今読み返すと腹も立たない
・『名探偵コナン』を先に読んでいたので、被害者も犯人も未成年なのが衝撃的だった
・今読むと携帯電話などが全く出てこないことに、時代を感じる
・再読すると話の密度が濃くて、スピード感が凄い
・最初に読んだ時は、これほど自分好みでマニアックな漫画が少年誌に連載されていることに衝撃を受けた
・行く先々で事件に巻き込まれて、いつも連続殺人を止められない金田一の心境が気になる
・創作者としては、漫画という媒体で視覚トリックを展開することに大きな可能性を感じる
・これだけ死人が出ている不動高校が潰れないのが不思議
・実は1作目の時点では、「ジッチャンの名にかけて」の決め台詞を言っていないことに驚いた
・筋書きが良くできた物語は、どんな形式で表現しても面白いのだと改めて感じた
・新本格的なフォーマットを使うことで、少年漫画の王道に乗せる形でミステリを展開したのが大成功

などの意見が出るとともに、先行作品からのトリックの流用の是非や、文章と絵での情報伝達の違い、ミステリ漫画の発展の歴史などにも話が及び、有意義な会となりました。   

Posted by 佐賀ミステリ  at 18:55例会

2023年06月11日

2023年6月の例会を開催しました

佐賀ミステリファンクラブ2023年6月の例会を開催しました。

今月の例会は対面とオンラインで実施しました。
対面13人、ZOOM3人、計16人の参加がありました。
また、文藝春秋社の翻訳小説部門統括を務められている永嶋俊一郎氏が、ゲストとしてご参加くださいました。

〇日時:6月11日(日)13時~17時
〇課題本:『父を撃った12の銃弾』
〇内容:
 ①おすすめ本紹介
 ②課題図書の感想
 ③課題図書についてのフリートーク等

読書会では、
・ティーンエイジャーが自己を模索するストーリーが好き
・銃描写を前面に押し出されても、日本人には理解しづらい
・全てが面白く、3回も読み返してしまったほどツボ
・書き留めたくなるほど美しい文章があった
・ページ数は多いが、情景が目に浮かび、サクサクと読めた
・ソフトカヴァー版の造本が面白い
・メルヴィルやヘミングウェイに通じる文体で、今日的なテーマを描いた作品
・脇役も含めて、様々な親子像が描き出されている
・クジラの描き方が本当に美しく感動的
・キャラクターが活き活きと魅力的で、文章も読みやすい
・目次の章題とレイアウトが面白い
・様々なアメリカ・ミステリの文脈を踏まえた上で、現代女流作家らしい新鮮な感性で書かれている
・人物造形に関わる文章に誤訳があったため、作品の真価を十分に読み取れなかった
・世評が高いのは理解できるが、ストーリーが予定調和すぎて少し物足りない
・娘のパートよりも父親の過去パートの方が、感情移入できて読みやすかった
・細かなガジェットが後に伏線となる構成が見事
などの意見が出るとともに、日本と海外におけるミステリというジャンル名の射程の違いや、訳文の中に見られる誤訳と思われる記述、翻訳出版を巡る様々な裏話、などにも話が及び、有意義な会となりました。   

Posted by 佐賀ミステリ  at 20:30例会

2023年05月14日

2023年5月の例会を開催しました

佐賀ミステリファンクラブ2023年5月の例会を開催しました。

今月の例会は対面とオンラインで実施しました。
対面20人、ZOOM3人、計23人の参加がありました。
著者である竹本健治先生も参加され、貴重なお話を伺うことができました。

〇日時:5月14日(日)13時~17時
〇課題本:『匣の中の失楽』
〇内容:
 ①自己紹介
 ②課題図書の感想
 ③課題図書についてのフリートーク等

読書会では、
・膨大な量の知識を、全て物語に必要なピースとして配置していく、構成力が凄まじい
・幻想味に富む一方で、ミステリとしてのトリックも多い、とにかく魅力的な作品
・本作の後に読んだ『虚無への供物』が真っ当な小説に見えてしまったが、これがオマージュ元だということもよく分かった
・タイトルの「匣」や「失楽」といった言葉が何を象徴しているのかが、とても気になる
・「第五の奇書」の座に収まる作品がいまだに出ていないことからも、本作が到達した地点の高さが分かる
・再読すると、全く別の作品のような新たな印象を受けた
・遊園地のびっくりハウスの中で振り回されているかのような読書体験
・この作品があったからこそ、以降の国内ミステリにおいて量子力学などが定番の道具立てとして定着した
・本作を紹介してくれた人から、真実の所在や作者の立ち位置を考えながら読むよう勧められたが、何十年経っても未だに答が分からない
・著者の意図は作中作のみで探偵小説を描き切ることにあり、そう考えると竹本健治=作中のナイルズなのでは
・日常的に折に触れて思い出してしまうような、印象的なシーンが多い
・自分も好きなエミリー・ディキンソンの詩が効果的に使われていて、嬉しくなった
・乾くるみの『匣の中』を先に読んで理解できなかったので、元ネタの本作を読んでみたら、もっと理解できなかった
・章割りが上手いおかげで、とてもテンポ良く読めた
・文章の力で読者をどこにでも引き回せる、小説家の怖さを感じた
・他の竹本作品と比べると、作者と登場人物の距離感が近いように感じられる
・もっと混沌としたラストになるかと予想していたら、意外とちゃんと解決して、やはりミステリなのだと感じた
・冒頭の霧の中の不連続線の描写に、著者の若さを感じる
・この構成を思いつく人は他にもいるかもしれないが、本気で書こうと思い、書くことができるのは竹本健治だけ
・極めてありふれた日常的な舞台設定から、これほどの物語を展開できるのが驚き
・22歳の竹本健治が、世界の真理に対して叩きつけた挑戦状
・常に誰にも似ていない作品を書くところが著者の凄いところであり、竹本健治というジャンルととらえるべき
などの意見が出るとともに、本作執筆とデビューに至るまでの詳細な経緯や、アンチ・ミステリや奇書といった用語で作品をくくることの是非、本作の存在が竹本先生のその後の作家活動に与えた影響と、現在のご本人の目から見ての評価、などにも話が及び、有意義な会となりました。






  

Posted by 佐賀ミステリ  at 21:59例会