佐賀ミステリファンクラブブログ

2021年4月の例会で会員から寄せられたおすすめ本の紹介をします。




http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488134099


『ロンドン謎解き結婚相談所』（アリスン・モントクレア／創元推理文庫）
第二次世界大戦終結直後のロンドンで、結婚相談所を立ち上げた２人の女性。
片や戦時中にスパイとしての特殊訓練を受けたスーパーウーマン、片や人間観察に長けた上流階級の未亡人という、異色の組み合わせ。
この結婚相談所でめでたく新たにカップルを誕生させたと思いきや、当事者の女性が殺害され、パートナーの男性が容疑者として逮捕されるという事件が起きてしまう。
警察の結論に納得できない２人は、各々のスキルを活かした犯人探しに乗り出して……。
軽妙洒脱なヒロイン２人の掛け合いと、終戦直後のロンドンの雰囲気が楽しい１作。  

佐賀ミステリファンクラブ2021年4月の例会を開催しました。

今月の例会もオンラインで実施しました。
10名の会員の参加がありました。

〇日時：4月11日（日）13時～16時20分
〇課題本：『シンデレラの罠』（セバスチャン・ジャプリゾ）
〇内容：
　①おすすめ本の紹介
　②課題図書の感想
　③課題図書についてのフリートーク等

読書会では、
・主人公が誰なのかが分からず、作者に振り回され続ける印象。
・謎解きミステリというよりサスペンスとして読むべき作品。
・旧訳で読んだときは非常に読みづらかったが、新訳はとても読みやすくなっている。
・主人公が誰なのか、作者はちゃんと答を決めて書いているのだろうか。
・設定の先駆性はすごいが、現代作家ならもっと捻りを加えるはず。良くも悪くも古典。
・自分が何者か分からないという、思春期に抱きがちな心情が良く描かれている。
・この設定から、映画『メメント』を想起した。
・本作の最大の功績は、一人四役という魅力的なキャッチコピー。
・人物造形がどれも秀逸で、話にほとんど登場しない伯母さんの悪意に恐ろしさを感じる。
・多くの後続作家に影響を与えたのも納得できる画期的な設定。ミステリの幅を広げた一作。
といった、多くの感想が出ました。

またフリートークでは、映画版との比較や、都筑道夫の『猫の舌に釘を打て』が本作に先駆けて
似たような趣向を試みていること、シンデレラというモチーフが全編にわたって散りばめられて
いる可能性、など様々な論点が提示され、非常に充実した会となりました。