2024年03月17日

2024年3月の例会を開催しました

佐賀ミステリファンクラブ2024年3月の例会を開催しました。

今月の例会は、対面とオンラインで実施しました。
対面17人、ZOOM2人、計19人の参加が
ありました。
また、作家の伊吹亜門先生が、特別ゲストとして参加されました。

〇日時:3月16日(土)13時~17時
〇課題本:『刀と傘』
〇内容:
 ①おすすめ本紹介
 ②課題図書の感想
 ③課題図書についてのフリートーク等

読書会では、
・この時代でしか成り立たないネタを集めた、ある意味で特殊設定ミステリ
・読者が物語に入り込んでいきやすい人物造形が良い
・全ての短編で、いったん解決した後に何らかの新たな真相が提示されているのが凄い
・連作ミステリ短編集としてのヴァリエーションが、本当に豊か
・過去を舞台にしているからこそ、飛躍をともなうホワイダニットの面白さを描きつつも、説得力を持たせられている
・本作で描かれる江藤新平の人間性が、どこまで史実に即しているのかが気になる
・正義が目まぐるしく移り変わる、明治という時代ならではの物語
・章ごとに視点が切り替わることで、江藤と鹿野の信頼関係の変遷が巧みに描き出されている
・『雨と短銃』を読んでから再読すると、「佐賀から来た男」に綺麗につながっていて感動する
・ミステリ面の構成にせよ、文章力にせよ、この若さで書いたのが信じられないほど図抜けている
・鹿野も江藤と同じく実在の人物だと勘違いしてしまったほど、人物造形がリアル
・幼少期から江藤新平に慣れ親しんだ佐賀県民としては、短編ごとに彼の描き方がどんどん変わっていく展開に、心がかき乱された
・罪と罰を巡るテーマが、ローレンス・ブロックのマット・スカダー物を彷彿とさせる
・『明治断頭台』と読み比べると、弾正台の描かれ方にかなり違いがあって面白い
・連城三紀彦を思わせる人間の機微の描き出し方が印象的
・ラスト2行で史実を簡略に説明して唐突に終わる締め方が、むしろカッコ良い
・ミステリというより、歴史人情話として素晴らしい
・伝統的な探偵役と助手のすれ違いの物語を展開しながら、それを最後に一ひねりして味のある結末にしているのが見事
・それぞれの自分の義を貫いて幕末という時代を生きた人々の姿が、物語を通して良く伝わってくる
・作者は現代の歴史ミステリの代表選手とも言うべき存在
などの意見が出るとともに、連作短編集全体の構想が出来あがっていった経緯や、歴史ミステリを書くに際しての取材や時代考証の難しさ、佐賀県民にとっての江藤新平のイメージと思い入れなどにも話が及び、有意義な会となりました。

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Posted by 佐賀ミステリ  at 18:58 │例会