2025年04月03日

会員のおすすめ本の紹介(260)

『夜より暗き闇』
(マイクル・コナリー/講談社文庫)
 旧友の依頼である男の惨殺事件の捜査に協力することになった、元FBI捜査官テリー・マッケイレヴ。彼は、犯行現場に残された装飾の意図を分析し、それが中世の宗教画の見立てとなっていることを解き明かすが、その見立てが示唆する犯人はハリウッド署の名刑事ハリー・ボッシュだった。その頃ボッシュは、別の大事件の裁判に関わっていたのだが、やがて2つの事件は交錯していき……。
 シリーズ探偵ハリー・ボッシュと、クリント・イーストウッドの監督・主演で映画化もされた名作『わが心臓の痛み』の主役テリー・マッケイレヴ、2人の主人公が競演する、コナリーの著作中でも特に派手な盛り上がりを見せる1作。それ以前のシリーズを順に追いかけてきたファンにとって最高の贈り物であるが、コナリーを読んだことがない読者にとっても取っつきやすい作品なので、逆にこの作品を最初に読んでみて、2人の主人公に興味が湧いたら過去の作に遡っていくというのも、一手かも。  

Posted by 佐賀ミステリ  at 12:30

2025年03月18日

2025年3月の例会を開催しました

佐賀ミステリファンクラブ2025年3月の例会を開催しました。今月の例会も対面とオンラインで実施しました。
対面14人、オンライン4人、計18人の参加がありました。また、見学に来られた方が1人おられました。

〇日時:3月9日(日)13時~17時
〇課題本:『ストーンサークルの殺人』M・W・クレイヴン


〇内容:
 ①おすすめ本紹介
 ②課題図書の感想
 ③課題図書についてのフリートーク等

読書会では、
・本の厚さを全く感じさせない、読みやすさと面白さ
・終盤の主人公2人の助け合いに感動
・古典的なエンターテインメントの文法を、現代の読者にウケるようブラッシュアップした上で活用している
・こういう残酷な殺害シーンは大好き
・一つの謎が解決すると新たな謎が現れるという展開の巧さで、グイグイ読ませる
・各場面に用意された引きが巧くて、どんどん読み進めてしまう
・英国の田舎の雰囲気が非常に良い
・ミステリの作りとしては、意外とクラシカルで優等生的
・これまで友人がいなくて孤独だったティリーの境遇に、強く感情移入してしまった
・リアルな警察小説でありながら、スパイ小説のような潜入捜査のシーンもあったりして、エンタメ性が非常に高い
・犯人が判明する前と後とで、小説のトーンが変化した印象
・主人公2人の今後の関係性の発展が気になる
・クレイヴンはスリラー展開を描くのが、非常に上手い
・スパニエル犬のエドガーの描写がとても可愛い
・「本当の正義とは何か」が本作のテーマ
・ティリーが社会性を徐々に身につけて成長していく展開が良い
・メインキャラクターも脇役も、一人一人が非常に魅力的に描かれている
・児童書を多く訳している人が翻訳しているためか、訳文が簡潔で読みやすい
・王道の文法を計算で組み上げて書いたということが、透けて見えてしまうところが、難といえば難
・最新作まで読むと、レギュラーキャラの関係性の変化に驚く

などの意見が出ました。

 参加された会員の中には、ワシントン・ポー・シリーズの熱心な愛読者の方もいれば、今回初めて読んで本シリーズに興味をもったという方もいて、話が大いに盛り上がりました。 また、作者が偏愛するミステリ作品や、ワシントン・ポー・ブレンドというコーヒーが販売されているといった情報も提供されて、内容の濃い例会でした。  

Posted by 佐賀ミステリ  at 07:52

2025年02月25日

会員のおすすめ本の紹介(259)

『顔のない肖像画』
(連城三紀彦/実業之日本社文庫)

数多くの傑作ミステリを生み出した唯一無二の鬼才・連城三紀彦が読者に贈る、どんでん返しの嵐とでも言うべき短編集。天才画家の遺作を巡るオークションが予測不能な逆転を見せる表題作を始め、医師に犯された患者の告発から思いがけない真実が浮かび上がる「瀆された目」や、9年前に誘拐された子どもから助けを求める電話が掛けられてくる奇抜な誘拐ミステリ「ぼくを見つけて」など、どの収録作も結末で驚愕すること間違いなし。『戻り川心中』や『夜よ鼠たちのために』、『宵待草夜情』といった初期の傑作群にも見劣りしない、「これぞ連城」と唸らされる一冊である。

https://x.gd/PPfqQ

『美女』
(連城三紀彦/集英社文庫)

綾辻行人をして「連城ミステリの極北」と言わしめた、異色の短編集。マンションで暮らす住人たちの異様な人間関係を描く「他人たち」や、妻殺しの容疑をかけられた男が思いがけないアリバイを申し立てたことで事件が出口のない迷宮に入り込む「夜の二乗」など、独特な読み味の作品が並ぶ。中でも集中のベストと言うべき「喜劇女優」は、恋物語を演じる七人の男女が次々と意外な正体を現して話から「消えて」いき、最後は誰もいなくなってしまうという、究極の実験小説。本書を読めば、連城三紀彦という作家の幅の広さと、その規格外の天才ぶりを、改めて実感できるであろう。

https://x.gd/vQ2jf  

Posted by 佐賀ミステリ  at 10:57

2025年02月25日

2025年2月の例会を開催しました

佐賀ミステリファンクラブ2025年2月の例会を開催しました。今月の例会も対面とオンラインで実施しました。
対面14人、オンライン7人、計21人の参加がありました。

〇日時:2月8日(日)13時~17時
〇課題本:『戻り川心中』連城三紀彦

〇内容:
 ①おすすめ本紹介
 ②課題図書の感想
 ③課題図書についてのフリートーク等

読書会では、
・詩情的な表現と、ストーリーテリングというか話のうまさが非常に素晴らしい。
・それぞれのタイトルに入っている花が重要なファクターなっていたりして楽しめた。
・出てくる女性の生き方に、こういう生き方しかできなだったのか、まだ他の生き方があるんじゃないかと思った。
 ・久しぶりに読み返したが、前回よりもしっかり楽しめたから、そういう意味では自分が大人になったのかなと思った。
・詩情溢れる文体は独特だなと思った。
・収録作の「桔梗の宿」はある意味で読みごたえのある警察小説だなという風に思って読んだ。
・若い時と比べて年代を重ねたら考え方や読んだ感想が違うと改めて思った。
・文章の美しさと儚さと赤量感が読んでるとどんどん迫ってくる感じがした。
・日本独特の湿気を感じさせるような雰囲気。本当に日本が舞台だからこういうお話が成立するのかなというような感じがした。
・理屈としては通るだろうが、普通はそんなことをしないだろうという思考の面白さがすごい。
・連城以前のミステリを考えても、こういう発想はなかったと思う。別の次元にいる作家だと思う。

などの意見が出ました。

 また、今回は竹本健治さんと奥様の信子さんにもご参加いただき、連城三紀彦さんとの思い出などをお話しいただきました。他では聞くことのできない貴重なお話ばかりで参加した会員は感心したり笑ったりしながら、連城三紀彦という作家のあり方に感銘を受けていました。その内容については佐賀ミステリファンクラブ会誌『雨中の伽』に掲載を予定しております。  

Posted by 佐賀ミステリ  at 10:54

2025年01月22日

会員のおすすめ本の紹介(258)

『疑惑の影』(ジョン・ディクスン・カー/ハヤカワ・ミステリ文庫)

富裕な老婦人を毒殺した容疑で逮捕された娘の弁護を引き受けた、弁護士のパトリック・バトラー。彼は様々な法廷戦術を駆使して、娘を無罪判決へと
導く。しかし、その裁判の最中、新たな毒殺事件が発生し、事件は新たなる局面へと突入し……。おなじみフェル博士と、今作初登場のバトラー弁護士、
二人の探偵役が突き止めた、恐るべき真相とは? 大胆な仕掛けが鮮やかに決まる、巨匠の隠れた名作。カーは不可能犯罪だけでなく、フーダニットの
名手でもあることが、本作を読めば実感できるはずである。

https://x.gd/LJAgm  

Posted by 佐賀ミステリ  at 08:02

2025年01月15日

2025年1月の例会を開催しました

 佐賀ミステリファンクラブ2025年1月の例会を開催しました。今月の例会も対面とオンラインで実施しました。
 対面17人、オンライン5人、計22人の参加がありました。

〇日時:1月11日(土)13時~17時
〇課題本:『緑のカプセルの謎』ジョン・ディクスン・カー


〇内容:
 ①おすすめ本紹介
 ②課題図書の感想
 ③課題図書についてのフリートーク等

読書会では、
・読みにくいかと思ったが、意外に読みやすかった。
・カーと言えばオカルトや不可能犯罪と思っていたが、これはまるで違っていた。
・最初のシーンが映画的だなと感じた。
・ラブロマンスについて(不必要ではないかという意見とあって良いという意見が出ました)。
・良くも悪くもカーの作品では癖がない。
・トリックについて(いくつかのトリックについて、感心したという意見と評価しにくいという意見が出ました)。
・登場人物の描写が面白い。
・毒殺講義については、毒殺の種類などを解説するものと思っていたが、そうではなくプロファイリングの一種だった。
・コメディタッチのドタバタが良かった。
・ラスト付近でのピストルについての描写は必要なのか。どういう意図だったのか。
・あの女性の今後が気になる。
・最後の畳みかけるような謎解きはとても良かった。
・もっと他の作品も読みたいと思った。
などの意見が出ました。
 参加された会員の中に熱心なカーのファンがいらして貴重な資料を多数展示されたり、提供したりして頂きました。 また、今回の『緑のカプセルの謎』の解説やカーの作品中における位置づけなどもしていただき、とても勉強になる例会でした。
 加えて会員の方が差し入れてくださった手作りのブルーベリーマフィンもおいしくいただきました。

 例会後には新年会も行い、会員間の交流を深めました。



  

Posted by 佐賀ミステリ  at 08:02

2024年12月17日

会員のおすすめ本の紹介(257)

『名探偵ガイド』(飯城勇三/星海社新書)

海外50人、国内100人、総勢150人の〈名探偵〉について、その〈推理法〉と〈事件との関わり〉という観点から解説したガイド本。平易な語り口ながら、
古今東西の作家たちが探偵役の設定にどのような工夫を凝らしてきたのか、その歴史を深掘りしていく優れた評論書にもなっている。好きな探偵の項を読んで理解を深めるも良し、知らない探偵の項を読んで興味をかき立てられるも良し。
ミステリファンであれば楽しめること間違いなしの1冊である。

https://x.gd/YfF5O
  

Posted by 佐賀ミステリ  at 18:10

2024年12月17日

2024年12月の例会を開催しました

佐賀ミステリファンクラブ2024年12月の例会を開催しました。今月の例会は、対面とオンラインで実施しました。
対面8人、ZOOM5人、計13人の参加がありました。

〇日時:12月8日(日)13時~17時
〇課題本:『そして夜は甦る』原尞


〇内容:
 ①おすすめ本紹介
 ②課題図書の感想
 ③課題図書についてのフリートーク等

読書会では、
・日本人による日本人のハードボイルドとして新鮮だった。
・比喩がとても良いと思った。こういう比喩を良く思いつくなと思った。
・ハードボイルドでありながら本格ミステリとしても成立している。
・女性の描写が今一つと感じた。時代のせいもあるかもしれない。
・チャンドラー的なものを日本という舞台でシリアスに表現するのは難しいと思う。それでも原尞はしっかり成功させていると思う。
・東京を舞台にした都市小説としても良く書けている。
・プロットが整理されていないとは思うが、デビュー作ということを考えればよくできている。
・主人公に魅力を感じない。もっと人間的な主人公で良いのではないか。
・ミステリは裏返しのトランプが表向きになっていくカードめくりに似ていると思う。そのカードがめくれていく醍醐味を感じられる。
・主人公があまりにも頭が良すぎる。
・作者がとても世慣れた感じがする。どういう人生を送ってきたのかが気になった。
・ハードボイルドはスタイルと文体が重要だと思うが、残念ながら興味が持てなかった。
・最後の展開はあまりにも無理があるのではないか。あの人物の気持ちが理解できなかった。
・推理という過程を飛ばして解決に行っているが、これは意図的だと思う。
・ハードボイルドの多くは一人称で書かれていると思うが、社会が複雑になっていくと一人称での表現はむずかしくなるのではないか。

などの意見が出ました。新しい会員の方も複数参加された例会で、これまでより多様な意見が出て、とても充実した例会となりました。  

Posted by 佐賀ミステリ  at 18:06

2024年10月04日

会員のおすすめ本の紹介(256)

『復活の歩み』
(マイクル・コナリー/講談社文庫)

リンカーンの後部座席を事務所とする刑事弁護士ミッキー・ハラーと、元ロス市警の名刑事ハリー・
ボッシュ、コナリーが生んだ2人の主人公がコンビを組んで、冤罪を訴える囚人の再審へと挑む。
過去の事件記録の些細な矛盾から真実への足掛かりを見つけ出すボッシュの捜査能力と、盤外戦も
含めたあの手この手で勝利を目指すハラーの法廷戦術。コナリーの持ち味が存分に味わえる1作。

https://x.gd/WGk25  

Posted by 佐賀ミステリ  at 14:18

2024年10月03日

2024年9月の例会を開催しました

佐賀ミステリファンクラブ2024年9月の例会を開催しました。今月の例会は、対面とオンラインで実施しました。
対面9人、ZOOM4人、計13人の参加がありました。
また、文藝春秋社 翻訳小説部門統括の永嶋俊一郎氏がZOOMでゲスト参加されました。

〇日時:9月22日(日)13時~17時
〇課題本:『エイレングラフ弁護士の事件簿』ローレンス・ブロック(文春文庫)


〇内容:
 ①おすすめ本紹介
 ②課題図書の感想
 ③課題図書についてのフリートーク等

読書会では、
・ひとつひとつの話が短くて読みやすかった。
・終わりはすっきりしない。
・展開が分かっているから安心して読める。
・こんなミステリーがこの世にあるのかと面白く読んだ。
・短編だから書ける展開である。
・最大の欠点は動機である。
・やってることがものすごくえげつない。今ポリコレ的にはどうかというような話だが、短編として娯楽作品として成り立っているから許される。
・ブロックは、長編で人間の中身を書き込む作家なので、こういう短編も書いていたのだなぁという。
・弁護士で、しかも探偵も犯人も一緒みたいな見方も出来るのが面白い。
・長い年月をかけて書かれてきた作品だから最初のフォーマットから段々ずれてくるのだが、そこも変えてきてるのがすごい。
・コントだと思った。
・アメリカの作家は、短編が上手い。
・熱い法廷バトルを期待したが、最後まで法廷シーンが出てこなかった。
・報酬を渋る奴が出てくるだろうなと、ワクワクしながら読んだら出てきた。
・段々と人間味が出てくるのが面白い。
・エイレングラフが手を下した描写はないが、実際にやったと思ったら笑えなくなる。
・手を下したとは一言も書いていないので、ひょっとしたら非常に運のいい人なのかもしれない。
・報酬をいかに払わせるかに面白みがある。
・決まったパターンの中で、これだけの数の短編を書けるのがすごい。
・短編の名手は、同じようなパターンの話でも飽きさせない。
・クイーンが評価したのがわからないではない。

などの意見が出るとともに、ゲストの永嶋氏から、発行のきっかけや裏話、その他様々な貴重な話が聞けて、有意義な例会になりました。  

Posted by 佐賀ミステリ  at 07:41